魅せられる自分がいるのにそういう自分にうしろめたさを感じ
悲惨な現場を美しいと感じる自分に反発を感じていた。
それを言葉に出来ないでいた。
今橋映子はその著書、「フォト・リテラシー」の中で、彼女もまた
スーザン・ソンタグの「他者への苦痛のまなざし」から言葉を
紡いでそれが何で何故なのかを解いてみせている。
美しいと感じる自分に後ろめたさを見る自分。
その事に対して 写真は「美しい棘」に成り得る。
逆には優れた報道写真 ー決定的瞬間に限らず、
対象の選択と技法が、明確な 思考あるいは正確な取材に裏付けられ、
しかも対象への 共感を失わない写真 ーこそが、歴史と人間の様態を、
記憶の断片として定着し得るとすら言える。
という。
そしてそれが「思考の契機としての写真」を肯定する。
であるなら、悲惨さに美を感じてうしろめたさを抱くことにすら
意味があるということだろう。
なんとも深い思考に裏打ちされた写真の「読み方」でなんと
優れた本だろう。
それにしても今橋映子さんってすごい才能だ。
No comments:
Post a Comment