Wednesday, November 22, 2006

Gwyn Hanssen Pigott グエン・ハンセン・ピゴット



(写真はCeramics Art and Perceptionの裏表紙から)

オーストラリアにGwyn Hanssen Pigott グエン・ハンセン・ピゴット
という陶の作家がいる。

ヨーロッパはもちろん、日本でもかなり知られた作家だ。
マイケル・カーデュー(Michael Cardew)や バーナード・リーチ
( Bernard Leach)に学び長い間イギリス、ヨーロッパで仕事をしてきた。
今年で71才になる。「立体の静物画」とよばれる淡い色合いの
器シリーズは薪窯で焼成されまるでモランディの絵のように並べられる。

ミュンヘンにあるb15というギャラリーのオーナーに会ったとき、
ハンセン・ピゴットの作品が話題になり興味深い話を聞いた。

ある時日本からハンセン・ピゴットの作品を買いたいという連絡があった。
メールのやりとりだけでその人はハンセン・ピゴットの作品を
シリーズでまとめて購入した。

何週間か経って、届いたという知らせと共に、
「ピゴットの作品を部屋に並べました。2時間もただそれを見て泣きました」
と書かれていたという。
そして、その人は日本のお医者さん、男の人よ、と。

日本の男性で、ハンセン・ピゴットの作品に涙する感性の持ち主が
いるというのは新鮮な驚きだった。
「音楽は人を泣かせることができる。美術は出来ないでしょう」と
言った人がいる。けれど絵画や立体をみて思いが溢れることはもちろん
あると思う。ただ、それを素直に口にできる日本男性は少ないと思う。

もちろん会ったこともない遠い国の人だから書いたのかも知れない。
そしてそんなことは人に知られたくないことかもしれない。でも
ギャラリーにとってそういうフィードバックがあることはどんなに
うれしいことだろう。そのメールに感動したから私にもその話を
してくれたのだろう。そのお医者さんはどういう人だろう、
と思わせるいい話だ。

ハンセン・ピゴットの作品は磁器なのに暖かく、静寂で優しい。
彼女の作品に魅せられる人が確かに日本でも増えている。

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