ハンス・コパーの作品では光と影が大きな役割をしていると思う。
同じ黒なのに光があたるとさまざまに繊細な表情を表す。影は
シルエットを浮かび上がらせ、影になる黒は暖かい。そんな
表情が好きだ。
LED照明のもとで作品は下からもほのかな光を受けて、
作品は自身の影をもたず、暖かい光に納まって見える。
この見せ方は作家の望む物だろうか、とふと思う。
光は優しく暖かくそっと作品を包む。光にくるまってなんだか
大いなる者の恩寵にいだかれているかのようだ。
コパーの生涯を知るとき、この、外部からの暖かさは
あまりピンとこない。なんだか作品がくすぐったがっているように
思えてしまう。
鋭く緊張感にあふれた研ぎ澄まされた空気のなかにおかれてこそ
(それはコパーの作品が醸し出すものでもある
そういった空気)作品が生き生きと語りかけてくる気がする。
静謐な、微動だにしない、時を経た、静寂の世界からの
作品たちの言葉は光と影の中でこそ発せられ会話されるように思う。
一人よがりの感想だと自分でも思うけれど。
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