常々能面のような人だ、と思っていたが一度だけ感情を
抑えきれずに声を詰まらせたのを見た。
キャスターとしてはあるまじき感情表出というのかもしれないが、
私はその時初めて近親感を感じた。
それは北朝鮮に娘めぐみさんを拉致された横田滋さん夫妻の
インタビューだった。来し方を聞きながらご両親の思いは
いかばかりかと思いを巡らせたのだろう、思わず声を詰まらせ
顔をゆがめた。早紀江さんが思いがけない風に彼女を見た。
何千回も同じ事を語り同じ説明を繰り返してきたであろう
早紀江さんにとって、こんな事ごときで声を詰まらせる
他人が不思議だったのかもしれない。
それにしても何と強い尊敬に値するご夫婦だろうと思う。
たった二人で駅で街頭で訴えてきた何十年間、国も私たちも
振り返りもしなかったのだ。それを自分のこととして感じて
ください、と訴え続けてまだ何も解決せずにいる。
何ができるだろう、、。
このことがあって、番組自体と国谷さんを見直した。
週末には国谷さんの代わりに男国谷とでもいうそっくり男性が
登場する。最初見たときは全くうり二つの弟がでてきたのだと
思った。でも何回か見ているとどうも違うらしい。顔はもちろん
話し方まで似ている。
朝はニュースの時間、地方に取材に飛ばされる女性レポーターが
いる。話し方、イントネーション、他人の中年の男性女性を
つかまえて「お父さん、今何してるんですか?」
「お母さんそれは、、、」などと話しかける無神経さ、高い声、
手振り身振り、その厚かましさに辟易してどうも苦手だ。
彼女が出てくるとすぐにテレビを切る。
私だけかと思ったら先日全く同じ人がいた。朝から嫌なキャスターが
出てきて不愉快だった、というので聞くと同じレポーターの
ことだった。彼女が出てくると即座にチャンネルを変えるという。
ところがこの頃スタジオでニュースを伝える女性キャスターが
全く同じような話し方、イントネーション、大げさな声の高低、
ジェスチャーをしている。
これはNHKがこういう指導をしているということなのだろうか、
何とも不思議なことだ。
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