Wednesday, January 10, 2007

Camille Claudel & Rodin - Fateful Encounter


2006年2月

カミーユ・クローデルとロダン

カナダのケベック州からデトロイトに巡回した「カミーユ・クローデルと
ロダン展」にやっと間に合った。なかなか時間がとれないでいたが、思い切って
デトロイトに飛ぶ。

スーパーボールと重なってホテルがとれず、対岸のカナダ、
ウィンザーに泊まることにした。2日間デトロイトの美術館まで往復し、
そのたびにパスポートチェックがあるので少々不便だが、トンネルで国境を渡る
バスもありデトロイト側でタクシーに乗ればよい。

デトロイト美術館は65,000点を所蔵すると言われる全米屈指の美術館だが
この展覧会はその特別企画室が入場制限になる人気の企画だ。2時間後の
入場券を購入し、ブラブラと常設展を見る。

二人のアーティストの出会いと別れ。共に制作を行った10年間の作品
別れた後の作品、また二人の拮抗し合うアイディアと技術を存分に堪能できた
展覧会だった。


130余点の作品と50点にのぼる手紙や図書類がほぼ年代を追って展示され、
どの作品がどのように生まれ、二人の関係とともにどのように変化をとげたか
またお互いの作品がどのように影響を与え合ったかが非常にわかりやすい展示だ。

それを助けたのはすべての観客に入り口で渡されるオーディオである。
作品の番号を入力するとその作品とそれに連なる展示作品の説明が非常に
わかりやすく解説される。例えば一つの作品の説明に終わらず、
「この作品の先にある同じ主題のブロンズはこれが作られた6年後に制作され
ました。ブロンズでは膝まづく女性の手は男性の手にもはやふれていません。
クローデルが、ロダンと結婚の望みがないと知った後の作品です」という具合に。

展示も解説も非常に流れがスムーズで、観客はクローデルとロダンという二人の
大きな物語をたどる旅をしているようだ。物語性の強い作品群に圧倒される。
けれど、驚きは最後の部屋の何気ない写真で新たなものになる。

殺風景な建物の前に立つ年老いた女性が笑みを浮かべている。健康的な
微笑みではない。明るい笑顔ではない。疲れた、仕方なく、とまどって
微笑んでいるような。それが精神病患者保護施設での晩年のカミーユだ。
かつての繊細で研ぎ澄まされた鋭敏な少女の面影は全くない。

隣に同じく晩年のロダンの写真がある。隣に立つのはロダンが一時期を
のぞいて終生連れ添った老妻の姿だ。



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