

ニューヨークのセントラルパークにほど近いところに陶芸では一番
(ということは世界の陶芸界で一番という意味になるが)名の知られた
ギャラリーがある。 ガース・クラーク氏が経営するガース・クラーク
ギャラリー(Garth Clark Gallery)だ。
一月の半ば過ぎ、たまたまそこを訪れたらグエン・ハンセン・ピゴットの
展覧会をしていた。淡い色合いと作品をグループで展示するという
ピゴット特有の魅力ある展示だが、入ってすぐのコーナーに
彼女にはめずらしく幾分濃いブルーの器があるシリーズ(上の写真)があった。
ピゴットは意図して歴史や特定の文化を彷彿させるような釉薬や形を
排除している。だから雰囲気は似ていても青磁釉は使わないし、また
高台も作らない。実際に淡い色調の釉薬を使ってはいるが、受ける印象は
まるで無色透明の、透き通るような磁器だ。
ピゴットはオーストラリアの作家だが、長くロンドンやパリで過ごしている。
静寂な佇まいがルーシー・リーの作品を思わせる、と感じていたら資料を
読むと実際にセント・アイヴスでバーナード・リーチの指導を受け、後に
ルーシー・リーが教えていたキャンバーウェルでクラスをとっている。
リーチの影響を色濃く現す初期の作品からその後ルーシー・リーを思わせる
薄い器に変化していく過程がはっきりと見て取れておもしろい。
ギャラリーの壁に、今スミソニアンでもピゴットの作品展が開かれている
とあった。連絡をとってみるとスミソニアンで開催されているのは
スミソニアンの所蔵品であるアジアの古陶器をピゴットが配置インストールした
興味深い展覧会のようだ。彼女自身の作品展はワシントンのオーストラリア
大使館で展示されていると案内にでていたがHPには記載がなかった。
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