ある日、電話がかかってくる。
「私、グウィンよ」と。初めてなのに何故か親しみを感じて
とめどない話をする。不思議な名前の由来も聞く。
グウィンのロマンティックな話を聞いて昔親友だったティーニを
思い出す。
ティーニはインドネシアからやってきた。ボーイという不思議な
名前のフィアンセがいていつも彼の話をしていた。
ティーニのデートの話にみんな惹きこまれる。
「で、それからどうなったの?」
「みんな、もう少し大人になったら話してあげる」
年は同じなのに、婚約しなくてはわからないこともあるのだ、と
彼女は言った。
ティーニは慣れない日本語でしかも授業も日本語で受けていた。
働きながら勉強していたので、出される課題もこなすのが大変に
なっていた。
やがてティーニは学校を辞めてインドネシアに帰ることになった。
結婚をもう待てないとボーイさんに言われ自分もそうしたい、と。
ボーイさんは裕福な、政財界の御曹司だった。
二人は豪華客船でハネムーンに出かけた。そろそろ地中海の
クルーズにまわる頃と聞いていた頃、知らせが届いた。
ボーイさんから、ティーニがひどく具合が悪い、と。
それから間もなく、彼女は亡くなった。前から腎臓が悪かった
のだけれど急性の腎不全ということだった。幸せの絶頂期に
あったはずのハネムーンで。
ボーイさんは今頃再婚してインドネシアで要職についている
ことだろう。ティーニと私ともう一人の仲間と、そして
ボーイさんと4人で撮った写真がある。
ティーニだけはあの笑顔のまま年をとらない。
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