Friday, September 18, 2009

グエンでなくグウィンという名

重大な間違いをしていた。考えもせず、当たり前のように 「グエン」と思いこんでいたが、「グウィン」と発音するのだった! 

 ある日、電話がかかってくる。 「私、グウィンよ」と。初めてなのに何故か親しみを感じて とめどない話をする。不思議な名前の由来も聞く。 グウィンのロマンティックな話を聞いて昔親友だったティーニを 思い出す。 

 ティーニはインドネシアからやってきた。ボーイという不思議な 名前のフィアンセがいていつも彼の話をしていた。 ティーニのデートの話にみんな惹きこまれる。 「で、それからどうなったの?」 「みんな、もう少し大人になったら話してあげる」 年は同じなのに、婚約しなくてはわからないこともあるのだ、と 彼女は言った。

 ティーニは慣れない日本語でしかも授業も日本語で受けていた。 働きながら勉強していたので、出される課題もこなすのが大変に なっていた。 やがてティーニは学校を辞めてインドネシアに帰ることになった。

 結婚をもう待てないとボーイさんに言われ自分もそうしたい、と。 ボーイさんは裕福な、政財界の御曹司だった。 二人は豪華客船でハネムーンに出かけた。そろそろ地中海の クルーズにまわる頃と聞いていた頃、知らせが届いた。 

ボーイさんから、ティーニがひどく具合が悪い、と。 それから間もなく、彼女は亡くなった。前から腎臓が悪かった のだけれど急性の腎不全ということだった。幸せの絶頂期に あったはずのハネムーンで。 

 ボーイさんは今頃再婚してインドネシアで要職についている ことだろう。ティーニと私ともう一人の仲間と、そして ボーイさんと4人で撮った写真がある。 ティーニだけはあの笑顔のまま年をとらない。

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