Monday, September 21, 2009

N700と中央線

東海道新幹線にN700が出来たときは乗るのを楽しみにしたものだ。 毎時10分がN700だったのでそれに合わせて予定を組んだりした。 何よりも喫煙車両がないということ、振動がない、静か、 パソコンのコンセントがある、、、などなど。

 で、どうだったか。 今ではできるならN700には乗りたくない。何よりも窓が小さい。 外の景色が不連続になることのストレス!どうしたってこれは デザインの改悪だと思う。おおらかさがない。せせこましい。 小さく囲われた景色しか見えないというのは息が苦しくなる。

 それにけっこう揺れる。 喫煙車がないといっても喫煙ルームがある不思議。 喫煙ルームに往復する人がそばを通るとひどいたばこの臭い。 やはりスモーカーはスモーキングルームに閉じこめておいて欲しい。 ずーっと喫煙車両にいてもらうほうがましだ。

 都内の中央線もデザインの改悪の例だ。 最初に新しい車両に乗ったとき唖然とした。一斉にぶら下がる 黒いわっか。何故黒なのか。 何より車内に入った瞬間気持ちが萎える。 さわやかな朝、仕事に行くにもなんとも気分が滅入るし不気味だ。 他の何色だっていい、贅沢は言わない。黒以外なら。

風街

京都に通い始めて9年になる。 いつも泊まるホテルから1ブロック東に入った狭い路地に 「風街」という美しい名前の居酒屋がある。

 最初、名前に惹かれて地下を降り、その店に入った。マスターは その昔、グループサウンズで「風街」という名のアルバムをだした という。名前のゆかりを聞いたらさりげなくそんな風に言った。

 メニューには「おやじのげんこつ」をはじめとするアイディア商品 がある。手早くおいしいおつまみを作ってくれるが、ただ一つ リクエストがある。 チンごはんはやめて欲しい。

おにぎりを頼んでも お茶漬けを頼んでも、一つ一つラップに包んだ冷凍ごはんを チンして解凍する。他のどれもがおいしいだけに、ちょっと興ざめ。 美しい店の名に恥じると思う。 「風街」に似つかわしくない作法だ。 という具合に、名前はいつまでもついてまわる、のです、マスター。 はしょらずに毎日ご飯は炊いてください。

Friday, September 18, 2009

グエンでなくグウィンという名

重大な間違いをしていた。考えもせず、当たり前のように 「グエン」と思いこんでいたが、「グウィン」と発音するのだった! 

 ある日、電話がかかってくる。 「私、グウィンよ」と。初めてなのに何故か親しみを感じて とめどない話をする。不思議な名前の由来も聞く。 グウィンのロマンティックな話を聞いて昔親友だったティーニを 思い出す。 

 ティーニはインドネシアからやってきた。ボーイという不思議な 名前のフィアンセがいていつも彼の話をしていた。 ティーニのデートの話にみんな惹きこまれる。 「で、それからどうなったの?」 「みんな、もう少し大人になったら話してあげる」 年は同じなのに、婚約しなくてはわからないこともあるのだ、と 彼女は言った。

 ティーニは慣れない日本語でしかも授業も日本語で受けていた。 働きながら勉強していたので、出される課題もこなすのが大変に なっていた。 やがてティーニは学校を辞めてインドネシアに帰ることになった。

 結婚をもう待てないとボーイさんに言われ自分もそうしたい、と。 ボーイさんは裕福な、政財界の御曹司だった。 二人は豪華客船でハネムーンに出かけた。そろそろ地中海の クルーズにまわる頃と聞いていた頃、知らせが届いた。 

ボーイさんから、ティーニがひどく具合が悪い、と。 それから間もなく、彼女は亡くなった。前から腎臓が悪かった のだけれど急性の腎不全ということだった。幸せの絶頂期に あったはずのハネムーンで。 

 ボーイさんは今頃再婚してインドネシアで要職についている ことだろう。ティーニと私ともう一人の仲間と、そして ボーイさんと4人で撮った写真がある。 ティーニだけはあの笑顔のまま年をとらない。